皮膚病診療 48巻8号 (2026年8月発行)の「和名のない皮膚疾患」特集に、共著者として執筆した「partially involuting congenital hemangioma」が掲載されました。
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.24733/pd.0000004656
本論文は、partially involuting congenital hemangioma(PICH) という先天性血管腫の報告です。
小児の赤あざには、乳児血管腫や毛細血管奇形など比較的よくみられる病気がある一方で、診断に専門的な知識を要する稀な疾患もあります。出生時の状態や、その後の大きさ・色の変化など、病変の経過を含めて診断することが重要です。
Common disease(よくある疾患)から、Rare disease(まれな疾患)まで
赤ちゃんや小さなお子さんによくみられる皮膚疾患として、乳児湿疹やおむつ皮膚炎、あせも、とびひなどがあります。そのほかには、赤あざ、青あざ、茶あざなど、さまざまな「あざ」がみられることもあります。あざには生まれつきあるものもあれば、生まれてしばらくしてから現れるものもあります。
こうした皮膚の変化は、一見しただけでは判断がつきにくいこともあります。例えば赤い皮疹の場合、乳児湿疹などの湿疹(皮膚炎)なのか、血管腫などの「あざ」なのか、あるいはもともとあったあざの上に湿疹が生じているのか、経過も含めて診察する必要があります。
さらに、「赤あざ」と一言でいっても、よくみられる乳児血管腫(いちご状血管腫)や毛細血管奇形から、今回論文で報告したPICH(partially involuting congenital hemangioma)、昨年学会で発表した房状血管腫(昨年~房状血管腫までを2025年11月のブログへのリンクとしてください)のようなまれな疾患まで、さまざまです。見た目が似ていても、それぞれ経過や治療方針は異なります。
小児の皮膚疾患を診療するうえでは、乳児湿疹のようによくみられる病気から、非常にまれな疾患まで、幅広い可能性を考えて診断することが大切です。当院でも、日常的な皮膚疾患を丁寧に診療するとともに、これまでの診療経験や専門知識を生かし、まれな疾患が疑われる場合には、適切な鑑別診断を挙げながら診療しています。
小児皮膚疾患の専門診療と病診連携
現在、私は国際医療福祉大学市川総合病院でも皮膚科診療を行っており、入院が必要な大規模な手術やレーザー治療を要する症例、まれな皮膚疾患や重症症例の診療にも携わっています。
2024年秋には、皮膚科・形成外科・小児科の3科が連携し、血管腫や血管奇形を主な診療対象とする「血管腫・血管奇形診療チーム」を立ち上げました。乳児血管腫や毛細血管奇形など、保険診療で治療が可能な疾患について多くの診療経験があるほか、今回の論文で報告したPICHのような希少な血管性疾患についても、診断から治療まで幅広く対応しています。
血管腫や血管奇形は、病変の種類や大きさ、部位、年齢などによって経過や治療方針が異なります。3科が連携し、それぞれの専門性を生かしながら診療を行うことで、患者さん一人ひとりに適した治療方針を検討しています。また、地域の医療機関との病診連携にも取り組んでおり、地域の先生方を対象とした講演会(地域の医療機関~講演会までを2026年3月のブログへのリンクとしてください)を通じて、血管腫・血管奇形についての情報共有も行っています。
当院での診察の結果、より専門的な診察や治療が必要と判断した場合には、疾患や治療内容に応じた適切な医療機関へご紹介しています。
当院では、外来で対応可能なあらゆる皮膚疾患に対応しております。
ダーモスコピー(皮膚科医が用いる拡大鏡)、エコー(超音波診断装置)、採血、皮膚生検(病変部を一部切除し、顕微鏡検査で病理を確認する。確定診断に最も有用)等の検査を用いた正確な診断、内服(飲み薬)、外用(塗り薬)だけでなく、手術、レーザー治療、光線療法、分子標的薬、様々な処置(局所注射や穿刺、縫合、液体窒素、削り、巻き爪矯正 等)を組み合わせた、最善の治療の提供に努めております。
皮膚に生じたお悩み事がありましたら、お気軽にご相談ください。
早川道太郎 (皮膚科専門医 がん治療認定医)


