月曜日から土曜日(午前)診療行ってます

皮膚科一般

当クリニックでは、湿疹やじんましん、ざ瘡(にきび)、疣贅(いぼ)など多くの方が経験する疾患にくわえ、皮膚腫瘍や爪疾患、毛髪疾患など、皮膚に生じたあらゆるお困りごとに対応しています。皮膚疾患は2,000種類以上の病名がつけられており、一見、同じようにみえる症状でもその原因や治療法はさまざまです。そのため、正確な診断を行うことが、治療の第一歩となります。

診断にあたっては、まず問診(症状の経過、生活習慣、既往歴などの確認)を行った後に、診察にあたります。さらに、必要に応じて以下のような検査を組み合わせて診断を進めます:

特殊な拡大鏡を使用し、色素性病変(ほくろやしみ等)や腫瘍、円形脱毛症病変部を観察します。腫瘍の良悪性の判断や治療効果判定に有用です。

クリニックに受診されることが多い代表的皮膚疾患

湿疹・接触皮膚炎

皮膚科診療症例の多くを占める疾患です。皮膚に炎症が生じ、紅斑(あかみ)、丘疹(ぶつぶつ)、水疱(みずぶくれ)、鱗屑(皮がむけてかさかさする)、痂皮(かさぶた)など多様な症状を呈する疾患の総称です。発症早期には紅斑や水疱が目立ちますが、慢性期には苔癬化(皮膚が厚くなり、硬くなる状態)や色素沈着となります。

原因がわかるものには、おむつ皮膚炎や主婦湿疹(手湿疹)、接触皮膚炎(かぶれ)等、固有の疾患名を有するものがありますが、原因が明らかでない場合も多いです。生活環境や職業、既往歴等、湿疹の原因になりうる要素がないかを確認いたします。アレルギー性接触皮膚炎が疑われる場合は、必要に応じてパッチテストを行います。早期の適切な治療が慢性湿疹や色素沈着への移行を防ぎますので、症状出現時はお早めにご受診ください。

原因の特定ができた場合、回避が必要です。内服療法や外用療法を行いますが、その際、症状や部位によって、適切な強さの外用薬を用いることが重要です。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、増悪と軽快を繰り返す、瘙痒(かゆみ)のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くは「アトピー素因(家族歴・既往歴がある、またはIgE抗体を産生しやすい素因がある)」を持つ。と定義されます。アトピー素因とバリア機能の脆弱性を背景に様々な病因が関わっているとされるため、重症度や悪化因子等は個々の患者さん間で大きく異なっています。

当院での基本的な治療戦略としては、病歴や家族歴等の情報から確実な診断を行ったうえで、増悪因子対策とスキンケアの励行とともに、重症度にあわせた適切な内服、外用治療をすすめています。まずは、外用薬を用いて湿疹やかゆみがない状態を達成し、その後、外用頻度を減らしながらも良い皮膚の状態を保ち、最終的には定期的な外用薬の使用をせずとも、保湿剤を用いたスキンケアで症状の悪化がない状態を目指します。

これらの一連のプロセスを達成するには、皮膚科専門医による定期的な診察、症状に合わせた治療薬の選択が不可欠となります。

2018年以降、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏のほかにも、新たな機序を有する非ステロイド外用薬や、注射薬(生物学的製剤)、内服薬(JAK阻害薬)が多数製品化されており、アトピー性皮膚炎の治療選択肢は大きく広がっております。これら新薬についても当院での導入、導入目的での連携施設へのご紹介を行っております。ご興味があります際は、お声がけください。

(特に、早川道太郎医師は、生物学的製剤、JAK阻害薬による重症アトピー性皮膚炎患者さんの多数の治療経験があります。ご相談は、診療担当日である火曜日と土曜日をおすすめいたします。)

脂漏性皮膚炎 (ふけ症)

脂漏性皮膚炎は、皮脂分泌が盛んな部位である、頭皮、顔面、耳、前胸部、背部上方などに、比較的境界明瞭で、ときに落屑(ふけ)を伴う紅斑として発症することが特徴です。治りにくい頭皮の湿疹としてご自覚されている方も多いです。病態についてはいまだ完全に解明されてはいないものの、皮脂、患者さんの免疫状態、(感染症ではないものの)皮膚常在菌であるマラセチア菌の関与が主要な因子と考えられています。ストレスや季節の変化、飲酒、ホルモンバランスの乱れ等、日常的に避けられない状況が引き金で症状悪化する場合もあるため、治療目標は、有症状時の皮膚炎を速やかにやわらげ、皮膚炎のない状態を可能な限り保つこととなります。

治療は、皮膚炎症状を抑えるステロイド外用薬やステロイド含有シャンプー、マラセチア菌の増殖と炎症を抑制する抗真菌外用薬を組みあわせた治療を行います。定期的な受診が望ましく、症状にあわせて、適切な外用薬指導をいたします。また、頭皮病変の場合、皮膚のスキンケアを行うのと同様に、頭皮のスキンケアも重要となります。正しい洗髪習慣指導やふけ予防シャンプーのご紹介もしております。

皮脂欠乏性皮膚炎、皮膚瘙痒症

皮膚がかゆくなる原因として、皮膚の乾燥=ドライスキンは大きな割合を占めます。秋~冬季の乾燥する時期は、普段は乾燥を自覚しない人でも四肢伸側や腰部、背部等がドライスキンとなっていることがあり、皮膚のバリア機能の低下が生じた結果、外的刺激に対する感受性が増すことで、湿疹やかゆみが出現します。ドライスキンや湿疹を放置し、無意識下に掻いてしまうことで、症状が増悪することも多いです。

ドライスキンの状態で適切な保湿剤外用を開始することが重要であり、湿疹となってしまった場合は速やかに症状を和らげるためステロイド外用薬を用いた加療を行います。乾燥とともに軽度の瘙痒を自覚されましたら、悪化前にお早めにご受診ください。

また、外用治療とともに、日常生活で瘙痒(かゆみ)を起こさない工夫をしていく必要があります。通気性のよい衣類の使用や、お風呂の入り方の工夫(熱いお湯は避ける、こすらない等)、室温調整等、日常で行うことが出来る少しの工夫でかゆみを軽減できることもあります。

皮膚病変がないにもかかわらず、瘙痒が生じている場合、ドライスキンのほかに背景疾患が隠れていることもあります。特に肝疾患、腎疾患、血液疾患を有している場合や、血液透析を行っている場合に生じやすいです。外用治療に加え、内服薬や紫外線療法の有効性が報告されていることから、症状にあわせて、複数の治療を組み合わせます。

蕁麻疹

「蕁麻疹(じんましん)」は、医療者でない方にも馴染みのある病名だと思いますが、それゆえに、患者さん自身が蕁麻疹と思って受診したが実は違う、ということも少なくありません。蕁麻疹の症状は、通常、24時間以内に消退するわずかに隆起した紅斑で、消退後は痕を残さないことが特徴です。そのため、受診されたタイミングで皮膚症状がないことがあります。可能であれば、スマートフォン等で皮膚症状を撮影記録していただき、診察の際にみせていただけると、診断に非常に役立ちます。

蕁麻疹には、明らかな誘因がない特発型(急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹;6週間以上持続しているかで分類)、特定の刺激により皮疹が誘発される刺激誘発型とがあります。

急性蕁麻疹は非常にありふれた疾患であり、人口の約2割が経験するともいわれています。ほとんどの患者さんが、6週間以内の内服薬治療で治癒しますが、一部の方で症状が慢性化しうります。その場合、複数の内服薬治療、それでも難治の場合には、注射製剤(生物学的製剤)の投与も検討いたします。治療戦略としては、まずは治療により症状が完全に抑制される状態を目指し、その後は患者さんと相談をしながら投与薬剤の減量や投与期間の延長を試みます。

蕁麻疹出現にあたり特定の原因がわかる場合は、その誘因を避けることが重要です。食物摂取の他に、運動や入浴、擦過、日光、温熱/寒冷、特定の物質に触れた後に出現する等のエピソードがある場合は、医師にお伝えください。

痒疹

痒みが非常に強く、やや硬い結節(しこり)を呈します。下腿に好発しますが、体のどこにでも生じうります。固く隆起して、病変が完成すると治療に難渋することから、初期病変である湿疹や小さな丘疹(ぶつぶつ)の段階で治療を開始することが重要です。湿疹や虫刺され、物理的刺激が原因となるため、症状が軽微な段階でも速やかに皮膚科受診し、治療を開始することが望ましいです。

外用薬を単純に塗布するほか、テープ剤を用いたり密封療法を行う等、治療には工夫が必要です。既存治療で効果不十分な場合は、注射製剤(生物学的製剤)の投与も検討いたします。

乾癬

厚い鱗屑(皮がむけてかさかさする)が付着する境界明瞭な紅斑(あかみ)を特徴とし,体のどこにでも生じうります。四肢体幹だけでなく、頭皮や顔面、爪に限局して出現することもあります。頭皮の脂漏性皮膚炎や下肢の(貨幣状)湿疹、皮膚が擦れる部分の真菌感染症など、ありふれた皮膚疾患と臨床像が非常に類似する症例も多いため、特にこれらの疾患と診断され難治の場合、確実な診断のために皮膚科専門医の診察が欠かせません。“かんせん”と読みますが、感染症ではありません。遺伝的要因や免疫学的異常、表皮細胞の分化や増殖異常等が病因として報告されておりますが、いまだ不明点も多い疾患です。

診断は、典型的な皮膚症状であれば比較的容易であるものの、非典型例や後述する全身治療を要する場合、確定診断をつけるために皮膚生検を行う場合があります。また、近年、乾癬は皮膚だけの病気でなく全身性炎症性疾患であると考えられており、関節痛の合併や肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症等の有病率が高いことも知られています。関節痛がある場合、治療方針が大きく変わるので、医師にお伝えください。

近年、乾癬の治療は大きく進歩しております。軽症の場合は外用薬が主体、中等症や重症、関節痛を伴っている場合では、外用薬治療に加えて、光線療法や全身療法(内服薬、注射製剤(生物学的製剤))を行うことで、難治症例も劇的に改善することができるようになっております。また、皮疹の面積は小さいものの、人目に付きやすい部分やプライベートパーツに限局して皮疹が出現している場合も、ご相談のうえで全身療法をおすすめすることがあります。数多ある治療選択肢の中から、患者さんと相談しながら、ニーズに合った治療方針を決めていければと思っております。

(特に、早川道太郎医師は、重症乾癬患者さんや難治部位に乾癬を有する患者さんへの、全身療法を含む多数の治療経験があります。ご相談は、診療担当日である火曜日と土曜日をおすすめいたします。)

ざ瘡 (にきび)

ざ瘡(にきび)は、顔面や胸背部の毛包脂腺系の慢性炎症性疾患で、思春期以降に出現します。ホルモンバランスやストレスの影響を受けるとされるため、症状に波があることが特徴です。

現在の治療戦略は、膿で白くなったり炎症で赤くなったりしている状態でのみ加療するのではなく、炎症軽快後の面皰(皮脂が毛穴にたまった状態)や微小面皰に対して外用薬で維持療法を行うことが、スタンダードとなっています。

具体的には、炎症を伴っている場合、抗菌薬の内服と共に、面皰治療薬であるアダパレンや過酸化ベンゾイル、両者もしくは外用抗菌薬の配合剤を用いて、速やかな炎症の軽快を目指します。その後は、抗菌薬の長期使用は避け、面皰治療薬を中心とした維持期の治療に移行します。つまり、ざ瘡治療はワンポイントでの治療ではなく、良い状態を保つために、外用薬による維持療法の継続が望ましいです。懸念点としては、アダパレンや過酸化ベンゾイル外用部に、高率に赤みやかゆみ、乾燥、皮むけなどの局所的な副作用が生じることですが、保湿剤の併用や外用時間の短縮によって治療継続できる場合がほとんどです。

これらの治療で効果が不十分であった場合、漢方薬の内服や保険適応外の内服、外用治療も検討いたします。

いわゆる“しみ”

一般的に「しみ」と呼ばれる皮膚の色素斑のなかには、日光黒子(老人性色素斑)、肝斑、両側性後天性真皮メラノーシス、雀卵斑(そばかす)、扁平母斑、炎症後色素沈着等が含まれます。特に顔面の場合、複数が合併していたり(加齢性混合型皮膚色素斑;aging complex pigmentation)、治療修飾が加わっていたりすると、診断が難しいこともあります。ダーモスコピーを用いて、丁寧に鑑別を行います。

各疾患に合わせて、内服療法、ハイドロキノン製剤等の美白外用剤、ビタミンC外用、ケミカルピーリング、レーザー治療等を組み合わせた治療を行います。なお、当院では肝斑に対するレーザー治療は行いません。扁平母斑や炎症後色素沈着を除いて、自費診療となります。

生まれつきのあざ

生まれつきのあざには、太田母斑や異所性蒙古斑(青あざ)、扁平母斑(茶あざ)、大きめの母斑細胞母斑(ほくろ、黒あざ)、乳児血管腫や単純性血管腫(赤あざ)等があります。

・太田母斑や異所性蒙古斑(青あざ)は、真皮メラノサイト(色素細胞)が増殖する良性疾患で、早期からのレーザー治療が有効で、当院での治療が可能です。保険適応の治療となり、3か月以上の期間をあけて照射を行います。異所性蒙古斑は色調の具合によっては、自然消退が期待できる場合もあるため、あえてレーザー治療を行わない選択肢もあります。

・扁平母斑(茶あざ)は、メラニンが増加する良性疾患です。本疾患に対してもレーザー治療は保険適応であり、当院での治療が可能です。注意すべき点として、有効率は20-30%程度とされ、再燃も多く報告されています。範囲が広い場合、あらかじめ病変の一部に試験的にレーザー照射を行い、数ヶ月後の反応を観察したうえで、全体の治療を行うこともあります。

・大きめの母斑細胞母斑(ほくろ、黒あざ)は、具体的に15mm以上のほくろを指すことが多いです。二次的に悪性腫瘍を生じることがあるため、整容面と悪性化のリスクを減らすために手術を行うことがあります。連携施設と協力して治療にあたります。

・乳児血管腫や単純性血管腫(赤あざ)は、未熟な毛細血管の増殖、拡張によって生じる良性疾患です。乳児血管腫に対しては、2016年より内服治療が承認されたこともあり、従来の経過観察ではなく、治癒後の瘢痕を少なくし色調の速やかな改善を目指した早期治療介入が行われるようになっています。いずれの疾患にも色素レーザー治療が保険適応となっております。当院では乳児血管腫や単純性血管腫等の毛細血管奇形に対するレーザー治療は行っておりませんが、連携施設と協力して治療にあたります。

小児、成人の多くのあざ治療の経験がある、早川 道太郎医師が診療担当日の外来受診(火曜日と土曜日)をおすすめしております。

レーザー治療のメリットとデメリットをお伝えしたうえで、ご家族と相談しながら治療方針を決定いたします。なお、早期治療が望ましい場合が多いため、0歳時での受診でも全く問題なく、むしろ望ましいです。

乳児血管腫や単純性血管腫等の毛細血管奇形の患者さんについては、早川 道太郎医師がレーザー治療の導入から携わっている東京歯科大学 市川総合病院(新宿線で浜町駅から本八幡駅まで約25分)や、治療症例の多い虎の門病院(日比谷線で人形町駅から虎ノ門ヒルズ駅まで約15分)、国立病院機構 埼玉病院等へのご紹介をしております。まずは診断が重要ですので、上記を疑う症状がある際はご相談ください。

脱毛症

髪の毛や体毛が部分的または全体的に脱落する疾患で、円形脱毛症、男性型脱毛症、女性型脱毛症、休止期脱毛症、瘢痕性脱毛症、感染症や外力による脱毛症など、さまざまなタイプがあります。

頭部全体の俯瞰的な診察と脱毛にいたった経緯の確認に加え、抜けた髪の毛や頭皮をダーモスコープ(拡大鏡)で観察することで、肉眼では観察困難な細かい所見を確認します。また、髪の毛を引っ張ることで易脱毛性の有無の確認(簡単に髪の毛が抜けるかどうか)、脱毛症が内科的疾患に伴って出現していないか採血検査を行うこともあります。脱毛症も、その他の皮膚疾患同様、正確な診断のもとに、治療戦略を検討いたします。

円形脱毛症や男性型/女性型脱毛症は一般の方にも認知度があり、受診頻度も高いですが、受診を契機にその他の脱毛症と診断される方もいらっしゃいます。自然治癒が見込める脱毛症や特異的な治療法が確立している脱毛症もあることから、脱毛を自覚した際には早期の皮膚科受診が望ましいです。

*クリニック受診機会の多い脱毛疾患;円形脱毛症と男性型/女性型脱毛症について

円形脱毛症は、成長期の毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられています。遺伝的要因とともに、疲労やウイルス感染症、ワクチン接種、出産や精神的/身体的ストレス等の環境因子が加わることで発症すると考えられていますが、原因不明な場合も少なくありません。

近年は、年齢、重症度(脱毛面積)、発症してからの期間の三要素をもとに、ステロイド外用、ステロイド局所注射、局所免疫療法、紫外線療法、点滴静注ステロイドパルス療法、JAK阻害薬内服を中心に治療します。併用治療として、上記に加えることで治療効果を高めることが期待できる内服薬を追加することもあります。なお、急速に進行している脱毛範囲が広い発症初期の症例のように点滴治療が必要な場合や、50%以上の脱毛が6ヶ月程度持続しJAK阻害薬内服が望ましい場合は、連携施設と協力して治療にあたります。

男性型、女性型脱毛症は、発症年齢や脱毛パターンが診断のポイントとなります。男性型脱毛では前頭部と頭頂部の頭髪が軟毛化し密度が少なくなり、女性型脱毛では頭頂部の比較的広い範囲が疎毛となります。

男性型脱毛症の場合、フィナステリド、デュタステリドの内服が有用です(自費診療となります)。一方、女性型脱毛症にはこれらの内服療法は適応ではありませんので、ミノキシジルの外用となります。

爪のトラブル (巻き爪・陥入爪、肥厚爪など)

爪も皮膚同様、炎症性疾患(爪の粗造化や変色;乾癬、扁平苔癬など)、感染症(爪や爪周囲の赤や白、緑、黄への色調変化、爪がボロボロになる;細菌、真菌、ウイルス感染症)、色素性病変や腫瘍性病変(爪甲の一部に黒い線や赤い線)等さまざまな病態があります。診断にあたっては、ダーモスコピー(拡大鏡)による診察とともに、KOH直接鏡検や細菌、真菌培養を行うこともあります。

診断にあわせて、内服治療、外用治療、外科的治療を組み合わせて加療いたします。

爪に特徴的な病態として、爪の側縁が内側に湾曲し皮膚に食い込む巻き爪・陥入爪、爪甲が肥厚する肥厚爪(厚硬爪甲や爪甲鉤彎症とよばれることもあります)があります。巻き爪や陥入爪の場合、爪の巻き具合や疼痛にあわせて、その場で爪棘の切除や巻き爪矯正術(一部自費治療)を行うことも可能です。肥厚爪の場合、グラインダー等で変形した爪甲を平坦にします。

爪のケアは自身で行うことが難しいことも多く、上手に爪を切れなかったことが原因で陥入爪となっていることも多々あります。爪の切り方のご指導もいたしますので、お困りがありましたらご相談ください。

皮膚腫瘍 (皮膚のできもの)

皮膚と連続した腫瘍なのか皮膚の下の腫瘍なのか、皮膚のどの成分が増殖して生じた腫瘍なのか(毛、脂腺、神経、血管などの脈管、線維、脂肪、筋肉等)、生じた経緯、良悪性等を総合的に考慮する必要があるため、診断や治療方法をここで一概に述べることはできません。診断にあたっては、視診、触診のほか、ダーモスコピー(拡大鏡)での詳細な観察を行います。

粉瘤や脂肪腫等の良性腫瘍の切除をはじめ、基底細胞癌やBowen病といった悪性腫瘍の切除および経過フォローも当院で可能です。皮膚のできものや腫れにお困りの際は、大きさに関係なくまずはご相談ください。

なお、クリニックを受診されることが多い、母斑細胞母斑(ほくろ)や脂漏性角化症(老人性のいぼ)は別項の記載としております。

日帰り手術は、基本的に予約制(主に火曜日の午後)で行っておりますが、小さなものであれば外来受診時に行えることもあります。ご相談ください。

手術枠の予約にあたっては、まずは月曜日から土曜日のご都合のよろしいタイミングで受診いただき、診察のうえ、日程をご相談いたします。その際、抗血小板薬や抗凝固薬内服の有無、アレルギーの有無の情報共有をお願いいたします。

症状によっては、手術前の画像検査や入院での加療が望ましい場合もあります。

その場合は、当院の連携施設と協力して治療にあたります。

母斑細胞母斑 (ほくろ)

母斑細胞母斑(ほくろ)は、メラノサイト(色素細胞)の増殖からなる良性腫瘍で、先天性・後天性いずれの場合もあります。診断には、肉眼およびダーモスコピー(拡大鏡)での診察を行い、悪性腫瘍(悪性黒色腫、基底細胞癌など)との鑑別を行います。悪性が否定できない場合は写真撮影のうえ経過フォローや、切除生検を検討します。

診察のうえ、良性と思われる場合、経過観察もしくは希望に合わせて切除を行います。切除のご希望がある場合、当院では、基本的にメスもしくはサージトロンでの腫瘍の全切除(表面のみを削ることはしません)を提案しております。その理由として、“良性”の母斑細胞母斑が“悪性”の悪性黒色腫に進展する可能性が否定されておらず、不完全な切除(腫瘍を取り切らず表面を削るなど)は望ましくないと考えているためです。切除検体は、すべて病理検査に提出をいたします。

・患者さん自身によるセルフチェック

悪性黒色腫(ほくろのがん、メラノーマ)を患者さん自身が早期発見するためのABCD(E)基準が提唱されています。Asymmetry(非対称病変)、Border irregularity(辺縁が不明瞭)、Color variegation(色調のムラ)、Diameter enlargement(6mm以上)、Evolving lesions(症状に変化がある)に該当する場合や、最近気になるほくろが生じた場合、ご相談ください。また、足の裏のほくろを主訴に受診される患者さんも多いですが、その他の部位と同様にダーモスコピーを用いた診察を行い、良性が明らかなものは経過観察、7mm以上のものや悪性が否定できない場合は定期的な経過観察や生検を行います。

脂漏性角化症 (老人性のいぼ)

顔面にも身体にも生じる、日常診療で診察する機会の多い良性の皮膚腫瘍です。加齢に伴い発生し、一般的に“老人性のいぼ”とも呼ばれます。肉眼では、母斑細胞母斑(ほくろ)やウイルス性のいぼ、時には皮膚悪性腫瘍と見分けがつきにくいこともあるため、ダーモスコピー(拡大鏡)を用いて診断を行います。悪性が否定できない場合は、皮膚生検で確定診断を行います。

液体窒素による冷凍凝固法や、メスもしくはサージトロンでの腫瘍切除を行います。

尋常性疣贅 (ウイルス性のいぼ)

尋常性疣贅は、ヒト乳頭腫ウイルス(human papilloma virus: HPV)の感染によって皮膚や粘膜に生じる良性の皮膚腫瘍です。ウイルスが原因であるため、周囲に感染、多発することもあり、小さく数が少ないうちに速やかに治療を行うことが重要です。

治療は、液体窒素による冷凍凝固法、疣贅部の削り処置、サリチル酸外用療法、ヨクイニン内服等の保険適応の治療を中心に、難治性の場合はその他の治療を併用することもあります。ほとんどの症例で、定期的な通院、複数回の治療を要します。

単純ヘルペス

単純ヘルペスウイルス1型、2型による感染症であり、口唇や外陰部等に疼痛や灼熱感を伴う、小水疱や潰瘍を形成します。多くの場合、無症候のうちに初感染が成立し、ウイルスが神経節に潜伏します。ストレスや疲労、免疫力低下等を引き金にウイルスが再活性化することで、1型の場合は口唇を中心とする上半身に、2型の場合は外陰部を中心に下半身に、皮疹が繰り返し生じます。

単純ヘルペスウイルスは人口の半分に感染しているともいわれる、一般的なウイルスであり、治療法、再発抑制療法ともに確立されております。必要以上に心配することなく、ご相談ください。 

診断は典型的な病歴、症状であれば、診察のみで可能です。非典型例では、抗原検出キットを用いた迅速検査を行うこともあります。

治療は、抗ウイルス薬の内服治療となります。可能であれば症状出現3日以内の、早期治療開始がとても大切です。

科学的な裏付けのある治療としては、症状出現後72時間以内の治療開始が推奨され、製薬会社からは5日以内の治療開始とされています。また、2019年より、皮疹は出現していないものの、皮疹が出る前のピリピリとした神経痛様の症状が自覚できる患者さんに限り、あらかじめ処方しておいた抗ウイルス薬を患者さんの判断で内服できる患者開始治療(patient initiated therapy)も認可されました。1年に何度も同症状を繰り返す方はご相談ください。

単純ヘルペスは症状がない時も、ウイルスを排出していることから、特に性器ヘルペスを有している場合、パートナー間での感染を起こさないために、再発抑制療法として抗ウイルス薬の連日内服も有用です。ご心配がありましたら、ご相談ください。

帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹の原因は、水痘の原因と同じ、水痘・帯状疱疹ウイルスです。

子供の頃に水痘に罹患していると、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏します。加齢やストレス、疲労、免疫力低下等を引き金にウイルスが再活性化することで、通常は体の片側に痛みを伴う小水疱の集簇として発症します。皮膚症状が出現する前に前駆痛が出現することもあり、頭痛や腰痛を自覚した後に、皮疹が出現するという経過を辿ることもあります。疼痛は、皮疹が改善するとともに徐々に軽減、消失することが多いものの、皮疹治癒後から3か月以上疼痛が持続する帯状疱疹後神経痛に移行することもあります。

近年、水痘ワクチン定期接種の影響か、若年者でも帯状疱疹が増加しております。疑わしい症状が出現した場合、速やかな皮膚科受診が望ましいです。

また、ワクチン接種も行っております。ワクチン接種の項(⑧リンク)もご参照ください。

診断は典型的な病歴、症状であれば、診察のみで可能です。非典型例では、抗原検出キットを用いた迅速検査を行うこともあります。

治療は、軽症から中等症の場合は、抗ウイルス薬の内服治療となります。可能であれば症状出現3日以内の、早期治療開始がとても大切です。重症の場合や免疫低下状態の場合は、入院のうえ点滴での抗ウイルス薬投与をすすめることもあります。

帯状疱疹関連痛に対しては、早期の除痛が有用とされるため、抗ウイルス薬内服とともに鎮痛薬の内服も開始いたします。多剤内服治療となるため、内服前に腎機能検査を行う場合があります(直近で、健康診断や定期通院等で血液検査を行っている場合、検査結果をご持参ください)。

鶏眼・胼胝 (うおのめ、たこ)

鶏眼(うおのめ)や胼胝(たこ)は、主に手のひらや足の裏など、圧力や摩擦が繰り返しかかる部位に発生します。鶏眼は中央部がクサビ状に芯を形成して皮膚が厚くなっているため、歩行の際に強い疼痛を伴うことが多いです。一方、胼胝は角質が増殖し、通常、芯がなくやや大きめの局面を形成しますが、稀に胼胝の中に鶏眼を合併していることもあります。いずれも、カミソリやメスで厚くなった角層を削る処置を行います。削り処置後には、盛り上がった部分は平坦化し疼痛も消失します。

鶏眼・胼胝削りを希望して受診された患者さんの中には、ウイルス性疣贅(いぼ)であったということもしばしば経験します。また、糖尿病患者さんでは、痛みを感じにくくなっていることから鶏眼・胼胝部が潰瘍化してしまっていることがあります。足の裏の病変は自分で直接確認しにくいことも多いですので、触ってみて違和感が出現したらお早めにご受診ください。

また、重要なことは、鶏眼・胼胝を生じないような予防戦略です。ご自身の趾先の形にあったつま先の靴を適切なサイズで選ぶことが重要です。

熱傷(やけど)

高温による皮膚障害であり、受傷後すぐに水道水で冷却、洗浄(10~30分程度)をしてから速やかにご受診してください。熱傷の深さは、受傷当日にはわからず、数日間、経過観察をすることで判断可能です。

たとえ熱傷範囲が狭くても、創部の状態にあわせた外用薬治療を行うことが、早くきれいに治すために重要です。

丹毒・蜂窩織炎

皮膚の表在~やや深部である真皮~皮下組織におこる急性の細菌感染症です。

顔面を含む全身に出現する可能性があり、局所的に皮膚が腫脹し赤くなり、熱感や圧痛を伴います。重症の場合、発熱や悪寒を自覚することもあります。

皮膚のきずを入り口に、病原微生物が侵入することが原因で、蜂窩織炎では白癬(みずむし)や慢性の下腿浮腫(足のむくみ)、静脈疾患、糖尿病、免疫力が低下している場合等が発症のリスクとなります。

軽症では内服薬治療が可能ですが、中等症や重症では入院の上、抗生剤投与や切開等の外科的治療が必要なこともあります。

白癬 (みずむし)

皮膚、毛、爪に皮膚糸状菌(カビの一種)が感染して発症する真菌感染症で、臨床的に遭遇する大部分の症例は、“みずむし”として知られる足白癬です。足趾間がかゆみをともなって皮膚がめくれたり、爪が白く濁る、身体に出現する環状の紅斑等の特徴的な症状を呈します。感染が疑われる部分の皮膚や爪をピンセットや爪切りを用いて採取し、顕微鏡で皮膚糸状菌の有無を確認します。検査結果は当日お伝えいたします。

治療は、感染部位にあわせて、適切な内服薬や外用薬を用います。爪白癬の場合、外用治療のみでは治癒率が低いため、内服治療をおすすめしています。飲み合わせに注意する薬剤があるため、常用薬がある場合、お知らせください。

白癬は感染症であるため、感染予防も治療同様に重要となります。

家族内に足白癬患者がいる場合、共用スペースの床が皮膚糸状菌で汚染され、感染リスクは非常に高くなります。また、本邦の足白癬の有病率は高い為、不特定多数の人間が裸足で使う場所(ジムやプールなど)でも感染のリスクは高いと考えます。共用空間使用後は必ず自宅で、念入りに両足底の洗浄を行うことをおすすめします。

足白癬は、蜂窩織炎等の皮膚感染症発症のリスクとなることから放置せず、皮膚科医による診断のもと、処方薬での治療を行うことが望ましいです。また、家族に同症状がある場合は一緒に治療することで、自宅内での再感染リスクを低下させられます。

多汗症

発汗は、気温や体温、湿度、その場の状況、心理的状況、ストレス等に影響され一定ではないため、患者さんご自身が日常生活でどの程度困っているか、が治療介入のポイントとなります。

局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6カ月以上つづいたうえで、①最初に症状がでるのが25歳以下であること、②対称性に発汗がみられること、③睡眠中は発汗が止まっていること、④1週間に1回以上多汗のエピソードがあること、⑤家族歴がみられること、⑥それらによって日常生活に支障をきたすこと、の6項目中2項目以上にあてはまる場合、局所多汗症の診断となります。

保険診療として、腋窩の多汗症に対してゲルタイプまたはシートタイプの塗り薬、手掌の多汗症に対してローションタイプの塗り薬での加療を行います。必要に応じて内服薬の併用を行うこともあります。

アレルギー 

皮膚科領域には、多くのアレルギー疾患があります。接触皮膚炎(かぶれ)や金属アレルギー、食物アレルギー、薬疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹等がその代表例です。当院では、精査のためにパッチテスト(夏季を除く)、特異的IgE抗体検査、薬剤リンパ球刺激試験を行っております。

アレルギーの診断にあたっては、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質や抗原)への暴露により症状が誘発されること、アレルゲンに感作されていること、の2点を証明する必要があります。そのため、これまでアレルギー症状が生じたと思われるエピソードを確認したうえで、上記に挙げた検査を行います。いずれの検査も、アレルギー診療に欠かせない有用な方法ではありますが、結果の解釈は時に難解で、アレルギー診療に精通した医師による判断が不可欠です。当院の早川道太郎医師は、Ⅳ型アレルギーである接触皮膚炎症例を中心に海外誌で多くの論文を発表、教科書の執筆にも携わっており、アレルギー領域の診療経験が豊富です。特定の食物や薬剤摂取後、特定の物質(金属やゴム、日用品など)接触後に、皮疹等のアレルギー症状が出現し原因精査をご希望の方は、ご相談ください。

皮膚に生じたお悩みはなんでもご相談ください。