2025年9月17-20日にフランス パリで開催された、EADV Congress 2025にて、コーヒー豆によるアレルギー性接触皮膚炎について発表を行いました。
アレルギー性接触皮膚炎は、一般に“かぶれ”と呼ばれる病態で、日常診療でも多く経験する疾患です。
一般の方にもよく知られる、金属アレルギーや漆アレルギーもその一つです。その他にも、日常生活で触れうる、あらゆるものが接触皮膚炎を起こす可能性があります。
本学会では、空気中に散布されたコーヒー豆が原因で、顔面や前腕等の露出部が紅潮、腫脹した症例を元に、原因検索の方法や過去の類似例をまとめて報告いたしました。また、症状を繰り返しやすい職業性接触皮膚炎であっても、適切な予防策を講じることで症状再燃防止が可能であったこともあわせて発表いたしました。

本報告は海外でも注目度が高く、今後、海外のアレルギーの専門家とともに、珍しい食物アレルギーをまとめた書籍を共同執筆することとなりました。
世界中で広く読まれている接触皮膚炎の教科書 “Fisher’s contact dermatitis”にも、コーヒーアレルギーの記載は僅少であり、これまで書籍としてまとめられたことがおそらくない領域であるため、今後の道標となるよう鋭意取り組んでおります。発刊の際には、またご報告させていただきます。
接触皮膚炎(かぶれ)を引き起こす原因の除去には、病歴や臨床症状からそのアレルゲンを推測し、パッチテストを行い、検査結果を正しく解釈することが必要です。
対症療法で難治な湿疹病変は接触皮膚炎の可能性がありますので、もし疑わしい症状がありましたら、ご相談ください。
自験例の発表の他にも、様々な講演への参加や世界中の企業が集まる展示ブースへの参加を通して、知識のアップデート、および本邦ではまだ承認されていないものの既存治療よりも有効性が高い新たな治療方法に関する情報も得られました。皮膚科領域の診断、治療の進歩を吸収しながら、日々の診療に還元してまいります。

当院では、外来で対応可能なあらゆる皮膚疾患に対応しております。
ダーモスコピー(皮膚科医が用いる拡大鏡)、エコー(超音波診断装置)、採血、皮膚生検(病変部を一部切除し、顕微鏡検査で病理を確認する。確定診断に最も有用)等の検査を用いた正確な診断、内服(飲み薬)、外用(塗り薬)だけでなく、手術、レーザー治療、光線療法、分子標的薬、様々な処置(局所注射や穿刺、縫合、液体窒素、削り、巻き爪矯正 等)を組み合わせた、最善の治療の提供に努めております。
皮膚に生じたお悩み事がありましたら、お気軽にご相談ください。
早川道太郎 (皮膚科専門医 がん治療認定医)

