2025年8月16-17日に大阪で開催された、第43回 日本美容皮膚科学会総会·学術大会にて、汗管腫のレーザー治療および解剖学的部位によって異なる病理所見を反映したダーモスコピー像の特徴について口演いたしました.
https://shun-convention.jp/bihifu43

ダーモスコピーは、皮膚科医が用いる、ライトがついた拡大鏡のような診療器具です。健康保険も適応されており、皮膚がんやほくろ、しみ、血管腫、円形脱毛症等の、色や形が診断の手がかりとなる疾患で広く使用されています。
レンズをのぞくだけですので痛みは伴わず、肉眼では観察しきれない皮膚の浅い部分の変化を反映した所見を得られることから、診療で頻用する技術の一つです。
当院では虫眼鏡のような形をした非接触型のダーモスコピーだけでなく、カメラ機能がついており撮影後、患者さんとその場で供覧することができるカメラ付きダーモスコピーも用いて診察を行っております。
私は皮膚科医になってから、ダーモスコピーには強い関心を抱いており、これまで多くの学会や論文で、皮膚疾患の新たなダーモスコピー所見の発表を行ってまいりました。
ダーモスコピーを用いた観察のみで、すべての病変を正確に診断できる訳ではないものの、良性/悪性の鑑別、病変部と非病変部の境界の判断、皮膚のどの深さにどのような異常が生じているかの推察、脱毛症や炎症性皮膚疾患の病勢など、多くの情報を無痛で得られることは、診断や治療計画の策定にあたり大変有用です。
本学会では、稀な部位に発生した汗管腫が、ダーモスコピーを用いた診察を行うことで、そのほかの感染症や悪性腫瘍と鑑別できること、正確な診断に基づいて患者さんの希望に合わせたレーザー治療を実施し、良好な経過をたどったことを発表いたしました。
また、学会参加を通して、にきび(尋常性ざ瘡)やしみ(老人性色素斑、肝斑、後天性真皮メラノサイトーシスetc)、酒さ·赤ら顔、レーザー治療等について、知識の再確認·アップデートを行いました。今後の診療に還元してまいります。
当院では、外来で対応可能なあらゆる皮膚疾患に対応しております。
ダーモスコピー(皮膚科医が用いる拡大鏡)、エコー(超音波診断装置)、採血、皮膚生検(病変部を一部切除し、顕微鏡検査で病理を確認する。確定診断に最も有用)等の検査を用いた正確な診断、内服(飲み薬)、外用(塗り薬)だけでなく、手術、レーザー治療、光線療法、分子標的薬、様々な処置(局所注射や穿刺、縫合、液体窒素、削り、巻き爪矯正 等)を組み合わせた、最善の治療の提供に努めております。
皮膚に生じたお悩み事がありましたら、お気軽にご相談ください。
早川道太郎 (皮膚科専門医 がん治療認定医)

