皮膚科医通信 Vol.18 爪白癬治療のいま

水虫の原因は白癬菌が角質のタンパク質「ケラチン」を溶かすから!

爪白癬 予防 治療 塗り薬

足白癬(足水虫)は4~5人にひとり、爪白癬は10人に一人と言われるほど一般的な病気。
身体の表面に起こる真菌感染症の9割はこの白癬菌による疾患とも。

足におきれば、足白癬(足水虫)、足の爪でおきれば爪白癬(爪水虫)、その他、いんきんたむし(股間)やたむし(身体)、しらくも(頭部)などと呼ばれます。

爪の主成分はケラチンという硬いたんぱく質で構成されています。白癬菌におかされると、やわらかくなったり、厚くなったり、透明感がなく混濁したりします。従来、爪白癬で内服治療できない人は、足白癬治療外用薬を使って、爪白癬を治療していましたが、爪への薬剤の浸透性が悪く、治療効果が上りにくく、皮膚科医の工夫が試される場でもありました。

今回発売され、後述する爪白癬の治療薬は、この硬い爪の上に塗る薬です。従来の外用薬は、この硬い爪を薬が通過できませんでしたが、この硬いケラチンに親和性をもった外用薬なのです。爪白癬も足白癬同様、顕微鏡検査で診断できます。

爪白癬を放置していると、つま先の力がでなくなったり、陥入爪(刺し爪)などを生じ易くなります。特に、糖尿病の人は注意しましょう。

爪は神経がないので、爪白癬になっても痛い、痒いなど症状を訴えません。自覚症状がない故、放置されていることが多いです。
爪の変化に気付いたら、一度皮膚科を受診してみましょう。

水虫治療は白癬菌が出す酵素をブロックすること

上の項で述べましたように白癬菌はケラチンを溶かしてそれを餌にして繁殖しますので、この生育過程をブロックすることで菌の繁殖を抑え、やがて死滅させることが治療になります。

ドラッグストアで入手できる水虫薬でも、皮膚科で診てもらって処方してもらう塗り薬、飲み薬でも、基本は同じ、
如何にして菌の活動を封じ込め、やっつけるか?です。

ただし、体質や症状の出方に合わせた薬とのマッチングも重要ですので、闇雲にドラッグストアで薬を買っても効かない、効きにくいということになります。また、そもそも、その症状は白癬菌の仕業でなく、他の原因によるものかもしれません。
そこで、皮膚科専門医で診断を受け、顕微鏡で検査をし、一人ひとりの症状や体質を含めた治療方法を決めることが大変望まれるということになります。

また、水虫は再発しがちな皮膚疾患ですが、これは治った気になり、治療を中途半端に終えてしまうことに原因があります。足の角質層は、皮膚のターンオーバーのサイクルが早くても1ヶ月、長い場合は1シーズン(3−4ヶ月)ほどかかりますので、症状が治まっても、油断せずに、白癬菌を駆逐し切るまで治療することも必要です。

皮膚科専門医でこその足白癬、爪白癬の治療

爪白癬治療薬 処方 塗り薬

皮膚科専門医での治療は、今までの足白癬には外用薬、爪白癬には内服治療が行われていました。

爪白癬の場合、内服薬での治療が一般的に知られるようになったものの、
肝臓障害のある人、寝たきりの高齢者、妊産婦などの内服治療ができない方や
そもそも内服治療を望まない患者様の場合、内服薬を用いることができませんした。

そこに、この1~2年でエフィコナゾール(商品名クレナフィン)とルリコナゾール(商品名ルコナック)の2種類の薬剤がでてきました。
この薬は、ケラチンからできている爪の表面に毎日、塗ることで爪甲に浸透して効果が現われてきます。
繰り返しになりますが、これらの薬剤は、硬いケラチンに親和性があり、浸透して白癬菌に届くのです。

こうして、爪白癬の治療方法は内服治療と外用薬という選択肢がひろがり、治療がしやすくなりました。
ただし、この内服薬、そしてエフィコナゾールやルリコナゾール 現在は、市販はされていません。
皮膚科専門医できちんと診察を受けた上での処方となります。

爪の異常があったら、早めに皮膚科専門の医療機関に行かれることをおすすめします。

爪白癬 足白癬にもうならないための生活習慣と住まいの環境

爪白癬 原因 銭湯 健康ランド

せっかく治った水虫も、白癬菌は常在菌ですし、そもそも水虫になりやすい体質の方というのもあるため、再発、再罹患しないための
生活習慣と住まいの環境もこの際、気をつけてみましょう。例えば、以下の項目は、きちんと徹底すれば、効果があります。是非、心がけてください。

1-手足をよく洗うこと。でもゴシゴシは禁物

キズがある場合、白癬菌は通常の半分の時間で侵入すると言われています。ナイロンたわしなどでゴシゴシ洗いするとキズができ、侵入を早めることになります。石鹸を使い、指で優しく洗いあげてください。
洗った後は、よく乾燥させてから、靴下、靴を履きましょう。

2-バスマット、靴下をこまめに変えましょう。

白癬菌のある人と同じバスマットを使うことは避けることが賢明ですが、こまめに取り替えること、また使用後はよく乾燥させることが重要です。
靴下もこまめに取り替えて、菌の繁殖を防ぎましょう。靴も複数でローテーションするほうが良いです。

3-免疫力を高めましょう。

免疫力が下がると菌が再び活発になることもあります。適度な運動、休息、そして栄養をとり、菌に負けない身体づくりをしましょう。

人形町・水天宮前の皮膚科専門医

皮膚科専門医である皮フ科早川クリニックは、水虫を始めとした皮膚トラブルの検査から総合的な治療までを行っています。分かり易い説明と的確な治療を心がけております。爪の水虫ももちろんですが、爪を診るとその他の疾患や未病がわかる場合もあります。気軽にご相談ください。