皮膚科医通信Vol.005 盛夏の皮膚トラブルの予防と処置

夏の肌ケア

東京都中央区の皮フ科早川クリニックがおります人形町、水天宮の界隈では、この季節になると、軒下に朝顔の鉢植えが並んでいたり、朝夕に打ち水をしているお店やお宅があったりと、暑気厳しいこの時期を上手に楽しく生活する、昔ながらのちょっと懐かしい光景がよく見かけられます。

それに、もう少しすると、すぅーっと路地風が吹いて、風鈴の音がチリンチリン・・・と聞こえてきます。幼少期から過ごしてきたこの人形町、水天宮は夏が似合う町だなぁと、つくづく思います。

さて、皮膚科医は5月〜8月が一番多忙な時期です。それは、汗をかく、お日様が照る、そして虫が多いからです。

ということで、

以前にお伝えをした以下の記事でも、取り上げてきた内容に補足をしつつ、皮膚科医通信vol.5をご紹介致します。

 

まずは、痒い、痛い、腫れる いやーな虫さされについて

虫刺されにご用心

皮膚科医通信Vol2で、ガーデニングや山歩きの際に虫に刺される(虫刺症といいます)ケースが多いと説明をいたしましたが、盛夏になると、夏休み中のお子さんが、被害にあうケースも増えてきます。

キャンプ、夏祭りなど、様々な屋外活動の時は、ちょっと暑いですが、長袖、長ズボンの着用をお薦めします。通気性があり、汗の乾きも早い素材のものが流通していますので、是非、活用してください。

その上で、肌が露出している部分などに、虫除けなどを使うと良いと思います。もちろん、虫除けのスプレーも、最近は人体、環境に配慮した天然由来の製品が出ていますので、これらも賢く選んでください。

夏の虫刺されといえば、あぶ、蚊、毒蛾、のみ、ぶよ等が、最も一般的なものです。

いずれも、刺された時点で気づくこともありますが、一般的には気付き難く、少し時間が経ってから強い痒みや痛みを伴う、腫れるといった特徴がみられます。

当クリニックにお見えになる患者さんも、いつ、どこで、どんな虫に刺されたのか自覚がない事も多いのですが、
皮膚科専門医であれば、刺された部位、患部の様子をもとに、どんな虫によるもので、また治療方法のおおよその見当がつけられますので、早めに受診してみてください。

なぜ早めかと申しますと、痒みに我慢できずに、患部をかきむしると、1皮膚が傷つき悪化 2その後、皮膚の黒ずみの原因となるためです。我慢できそうにない、あるいは、夜間で受診できない場合は、患部を濡れた冷たいタオルなどで冷やすなど応急処置を行ってください。

 

それから、夏なると増える皮膚のトラブルは、ご想像通り、日焼けです。

夏の日焼け対策

海、山、川での行楽にでかけ、思わぬ日焼けをしてしまい受診なさる患者さんが多いシーズンです。皆様に共通していることは、「こんなに日焼けをしてしまうとは思わなかった…」と、仰ることです。

せっかくの休暇や週末、心行くまでビーチで過ごしたい、子供と思う存分遊びたい等と思う気持ちは分かりますが、日頃、スーツ姿で都会のオフィスに働く大人は案外、日に当たる機会は多くないものです。
そのような大人が、一度に長時間、日に当たると、翌日、翌々日には体幹全体が日焼けによる炎症で赤く痛みを伴うこととなってしまいます。

夏の日焼けは炎症が強く現れ、水ぶくれが出来たり、皮が剥けたり、時には眠れない程の辛い症状になる場合も多いのが特徴。

女性に限らず、男性も必ずUVケア剤を塗布すること。また、午後の日差しは特に強烈ですから、午前中を中心に活動する、パラソルの下で過ごすなどの工夫が大切です。(UVケア剤:日焼け止めの選び方は、「皮膚科医通信2」で紹介中)

最後は、特にお子さんに多いあせも。

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俗に言う、汗疹(あせも)は、沢山の汗をかいた時、汗管という汗が出る管が詰まり、体表へ汗が出るのが妨げられることにより、小水疱が生じたものをいいます。

特に小さなお子様は、あせもになりやすいです。それは、体温が高く、活動が活発な上、汗腺が大人に比べて5~10倍(年齢により異なる)も多いという理由からです。

ただし、運動や気温によって、汗をかくという習慣により汗腺が発達していきますから、汗をかかないようにさせるのではなく、大事な発達段階のことも考え、汗をかいたらケアをするということを念頭において、以下の様な生活を実践してください。

もちろん、この方法は、子供だけでなく、大人も同じように予防と対処が可能です。

  • 風通しのよい天然素材の衣類で、ゆったりめのサイズのものを着る。(麻、ヘンプ、最近では竹布なども)
  • 汗そのものが皮膚への刺激となるので、外出時には汗をこまめに拭きましょう。濡らしたタオルの方が、汗もよくとれますし、皮膚への刺激も少なくなります。更に、濡れたタオルの間に小さな保冷剤を挟んでおくと、清涼感もあり気持ちよく過ごせます。
  • 外出から帰ったら、ぬるめのシャワーで、さっと汗を流し、清潔にしましょう。また、エアコンや扇風機で適度に空調を施すと、さらっとして過ごしやすいです。
  • 虫刺され同様に、汗疹(あせも)も、掻きむしると、二次感染し症状が悪化しますから、注意して下さい。

 

なお、汗疹(あせも)に似た症状でも、実は別の原因である場合もあります。

一例を挙げるなら、赤ちゃんなどの陰部にできるカンジダ症や、思春期前後の年齢における背中や胸にできたニキビなどです。

気になる場合は、皮膚科専門医を受診することで、案外早く解決することがありますので、気楽にご相談下さい。