皮膚科医通信Vol.13 毎年5月になると相談が増える皮膚のトラブル

人形町・水天宮も新緑の青葉が繁れる季節を迎えています。ゴールデンウィークもあり、気候もよいこの時期、皆様は如何お過ごしでしょうか。

皮フ科早川クリニックでも、毎年5月になると増えてくる皮膚病が、そろそろ見られるようになり、皮膚科医にとって、忙しい季節の始まりでもあります。

ガーデニングで湿疹?

皮膚科医通信 5月の皮膚トラブル

2014年のブログ 初夏に多くなる日焼け、虫刺され、植物かぶれなどのトラブルもあわせてお読みください。

5月頃になると、屋外での活動が増えるのを機に、先ず、特にチャドクガによる毒蛾皮膚炎の症状で受診なさる患者さまが多くおられます。チャドクガは、ツバキ・サザンカ・カラタチ・チャの木など、街路樹、公園や庭木といった、ごく身近に植えられた木々の葉の裏などに多く生息しています。

以前の皮膚科医通信でもお話しましたが、チャドクガは、5~6月と8~9月の年2回、卵から幼虫(毛虫)となり、6~7月と9~10月に成虫(蛾)となります。一匹の虫に30万本以上の毒針毛があるといわれる、この幼虫と成虫に触れることによって起きる、痒みを伴う赤い発疹が毒蛾皮膚炎の症状です。そして、非対称(左右のどちらか片方)に症状が現れるのも特徴といえるでしょう。

また、実際に木々や葉に直接触れたり、毛虫や蛾の姿を見なくとも、木々の周囲で草むしりをしたり、通ったりすることで、落ちてきた毒針毛に接触して発症するため、患者さまご本人に診察時、お話を伺うと、案外、虫に触れたことや刺されたことに気づいていない場合も多いようです。明らかに虫に触れてしまったことがわかったり、痒く真赤な発疹が短時間に沢山現れた場合など、心配になってしまうかもしれませんが、先ずは、触れる、擦る、払うなどせず、温めのシャワーで十分洗い流すことが大切です。その後、濡れたタオルで軽く冷やすなどして、皮膚科医を受診するとよいでしょう。

日焼けによるシミと肝斑の違いは目の周りがポイント

さて、5月になると紫外線も強くなってきますね。“しみ”は、皮膚のメラニン色素が過剰となる状態で紫外線を浴びることによって、メラノサイト(色素細胞)内で、チロジナーゼと呼ばれる酵素の働きが活発となり、チロジンというアミノ酸を材料にメラニン色素が作られます。人はメラニン色素を作ることによって皮膚を紫外線から守っているのですが、一般に“しみ”は日光性(老人性)色素斑、肝斑、真皮メラノーシスの3種類です。日光(老人性)色素斑は、長年の日光暴露で生じるものなので、顔面、手の甲などに加齢とともに増加します。

大部分の“しみ”は、この日光性(老人性)色素斑といえます。肝斑は、30才代以降、妊娠などを機に発症することが多く、加齢とともに、60歳以降、自然に消える傾向で、目の周囲に発症しないのが特徴です。一方、真皮メラノサイトーシスは、20歳代以降に発症し、加齢とともに濃くなる傾向で、目の周囲に出来ることが肝斑との違いでもあります。また、日光性(老人性)色素斑と真皮メラノサイトーシスは、Qスイッチルビーレーザーを中心としたレーザー治療が非常に有効です。詳しくはレーザー治療の項目をご覧ください。

皮フ科早川クリニックのレーザー治療のページはこちら

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最後に、“しみ”との鑑別に注意が必要な「皮膚がん」の話を少し

日光性角化症(将来、有棘細胞癌になることがある)、基底細胞癌、悪性黒色腫(メラノーマ)なども紫外線が原因となって、がん細胞が生じることが多いため、顔面や手の甲などの露出部に多く見られる傾向があります。従って、長年の紫外線暴露により高齢者ほど多く、
“しみ”と間違えられていることもあります。最近、大きくなったり変化がみられる“しみ”、
また、足裏などのホクロは皮膚科専門医を受診することにより、ダーモスコピーという検査器具で、より詳しく調べることができます。

ダーモスコピーは、今回のブログの画像で、私が手に持ち、覗きこんでいる特殊な拡大鏡

ともあれ、“しみ”や皮膚がんを予防するためには、その原因である紫外線から身を守ることが大切といえます。この時期は、薄着が心地よい感もありますが、長時間の屋外活動時は、皮膚のために、先ずは是非、長袖、長ズボンの着用がおすすめです。紫外線防止対策として、帽子をかぶる、サングラス、日傘、また、日陰を上手に利用して過ごすことも心がけてほしいものです。さらに、肌に合った日焼け止めクリームを使うことなども行って、楽しい春を満喫してください。