創傷(さまざまなケガ)

創傷については、小外科的治療の項も、あわせてお読みください。

小外科的治療(縫合)に関するご案内

小外科的治療(縫合)に関するご案内

擦過傷(さっかしょう/俗称 すり傷)

例えば、転んで、膝や肘を擦りむいたような傷です。
一般的には、創部をぬるま湯のシャワーなどで異物や汚れを優しく十分に洗い流します。
軽度の場合、肉芽形成、繊維化を経て上皮形成、自然治癒します。

創部の衛生、浸潤を保つことで上皮形成が促進され皮膚の傷痕を最小限に止め、治癒機転を高めることが出来ます。
当クリニックでは、抗生物質外用薬と消炎外用薬による処置による治療を行っております。

切創(せっそう、俗称 きり傷)

パンスライサーで右第2指内側の皮膚を削げ落とす。 左:受賞後14日目、周囲より肉芽が上がってきた状態。中・右:受傷後から30日後。上皮が形成されてきています

パンスライサーで右第2指内側の皮膚を削げ落とす。
上段:受賞後14日目、周囲より肉芽が上がってきた状態。中・下段:受傷後から30日後。上皮が形成されてきています

例えば、包丁で指先を誤って切ってしまったような、日常生活でも、よくある受傷です。

この場合、創部が滑らかで汚染創がなければ自然治癒が期待出来ます。
まずは、ぬるま湯のシャワーなどで創部を洗浄します。

次に、きれいなタオルなどで、創部をしっかりと押さえ(圧迫止血)ます。
受傷の程度にもよりますが、出血が多い、なかなか止まらない場合は、速やかに皮膚科医を受診しましょう。

当クリニックでは、創部の消毒、外用薬による処置を行う他、縫合が必要な場合も、速やかに局所麻酔により痛みなく治療いたします。
その際、傷跡、縫い跡を出来る限り残さないようナイロン糸を使用、また、より早い、きれいな治癒を目指し、処置にる治療をお薦めしております。

裂創(れっそう)

捻れ、打撃や過伸の強い外力による受傷です。

縫合可能な場合もありますが、縫合が出来ない複雑な創部もあります。
治療方針は、縫合可能な場合は切創に準じたものとなります。
縫合不能の場合、挫滅創に準じた治療方法を行います。

感染、鎮痛の為、内服薬の処方する場合もあります。
その他、ケロイドをつくりやすい体質 や受傷部位の場合にも、内服薬やテーピングなどの効果が期待出来る治療法を行っております。

挫滅創(ざめつそう)

摩擦や外部からの圧力で、皮膚が赤くなったり、表皮剥離(皮膚が剥けた状態)したものです。
ご高齢者に多くみられます。

年配の患者様が、ちょっと、ぶつけただけなのに、少し強く掻いてしまったけれど、以前ならば、このようなことはなかったのに…と、受診時に言われることがあります。
ご高齢の場合、日常生活の些細なことから受傷します。
年齢とともに、皮膚が薄く、弱くなっているところに、外部からの刺激(ぶつける、引っ掻くなど)が加わることによりおこる場合が多いです。
表皮剥離をおこし、創部は真皮、皮下組織、それ以下まで及ぶこともあります。
また、褥瘡(じょくそう)の初期と似た症状でもあります。

ご高齢者の場合、皮膚の修復が悪いため、一般的に治療には時間がかかります。
創部を衛生的に保つ(優しく、ぬるま湯のシャワーなどで流し洗いするなど。)こと、外用薬による処置を根気よく続けることが必要です。

咬創(こうそう)

動物などに咬まれることによって、受傷したものです。

創部が深く、滑らかでないことから、一般的に治癒に時間がかかります。
また、動物の牙は病原菌が多く付着しているなど、創感染を発症することが多いです。
まずは、ぬるま湯のシャワーなどで十分洗い流した後、受診が必要です。

抗生物質外用薬、消炎外用薬による処置の他、抗生物質内服薬、消炎鎮痛薬
の処方などで治療を行います。

ケガと癌の関係

これはやけどの受傷にも当てはまりますが、受傷後、長い年月が経過した後、瘢痕部位から、癌(有棘細胞癌)が発症することがあります。
受傷時、比較的症状が重いやけど、けがの場合、定期的に変化がないか、ご自身で心掛け、気になる場合は皮膚科医を受診してください。