粉瘤(アテローム)

耳の粉瘤

症例:耳たぶうしろの粉瘤

炎症性粉瘤

症例:炎症性粉瘤

粉瘤の手術

症例:上記、粉瘤の手術から10日が経過した様子。

感染性粉瘤

粉瘤(ふんりゅう)は、アテローム(ドイツ語ではアテローマ)とも呼ばれます。
(上述の写真では、炎症性粉瘤としていますが、感染性粉瘤と同義とお考えください。)

皮膚はコブ状に盛りあがった表皮以外、殆ど正常に見えますが、時間の経過とともに腫れて大きくなっていきます。
患者様が気が付いて受診する時点では、小指大程度のものが皮下に触れる程度の場合が多いです。

よく見ると、中央に毛穴陥凹があり、そこを押すと、悪臭のある粥状物質(仮性粉瘤)が出てきます。
表面に穴がみつけにくい粉瘤(真性粉瘤)もありますが、圧倒的に仮性粉瘤が多いです。

粉瘤が大きくなってくると、こすれる部分が多くなることや、アルコールなどによる2次感染を起こし(感染性、炎症性粉瘤)表面が赤く痛みを伴ってきます。
あまり大きくなって自潰し、中の内容物を持って来院する方もいます。
粉瘤は、誰にでもある、どこにでもできる、ごくありふれた良性腫瘍ですから、安心して受診してください。

粉瘤の治療

1.第一選択は局所麻酔を行い外科的に切除し、粉瘤の内容物を含む壁を全て取り除くことがポイントです。取り残しの壁があると、そこから再発の恐れがあります。
2.くり抜き法(へそ抜き法)は簡易的で患者様の負担が少なく時間がかからない良い治療法であります。麻酔を1.と同様にした後、丸いディスポパンチで3~5ミリほどの穴をあけ内容物と壁をとりだします。

陳旧性、つまり皮膚の中で壊れては出来る状態を繰り返す粉瘤に対しては内容物を包み込んでいる壁が明瞭でなく
、取り残しが多く、再発しやすいです。また、大きな粉瘤に小さな穴から奥の壁を確認するのは難しいのです。

この腫瘍はあくまで良性なので、強い炎症がなく、あまりに大きくなければ外科的に処置する必要もありません。
放置して経過をみる場合、観察していじりまわして、炎症を起こさせないことが大切です。

抗生物質が炎症を抑えたり、縮小させたりもしますが、治癒には至りません。

参考資料

日本皮膚科学会 粉瘤の解説