皮膚科医通信 Vol.14  秋のアレルギー

今年の夏は大変暑く、皮膚のトラブルの多い夏でもあったようです。
皮膚科医としては、多くの患者の皆様の診療にあたることとなり、忙しく充実した今夏でしたが、皮膚科医通信の方では、すっかりご無沙汰となってしまいました。

このところ不順な天候も続き、また朝晩は秋の気配も感じられるようなり、皮フ科早川クリニックも本来の診療体制に戻りつつあり、私もホッと一息といったところです。
人形町、水天宮の皆様は、如何お過ごしでしょうか。

今回は、秋のアレルギーについて、お話させて頂きましょう。

過ごしやすい季節になってきたと思う頃、最初は風邪かな?と思っていたけれど、なかなか治らない、鼻水が出る、喉の調子が悪い、また皮膚が痒いといった症状。
受診時にお話を伺うと、「去年まで何ともなかったのに、今年は体調が悪い。」と言われて受診されるケースが例年みられます。

第一の原因としては、秋の花粉症が多いようです。

秋のアレルギーの原因物質のひとつ ブタクサ

秋のアレルギーの原因物質のひとつ ブタクサ

花粉症といえば、一般的には春のスギ花粉症がよく知られていますが、秋には、キク科のブタクサやヨモギなどの花粉が飛散し、原因物質となってアレルギー症状を発症します。

特にキク科のブタクサは、都会の道端や空き地などでも、よく見かけられる程、広く全国的に分布しています。
また、同じキク科のヨモギも繁殖力が強く、平地から高山まで、こちらも広く分布しているため、秋の花粉症の多くの原因となっています。

花粉以外では、昆虫が秋のアレルギー症状の原因となっている場合も多いです。

ガ、ユスリカ、ゴキブリ、ダニなど、梅雨時から夏にかけて多く発生した昆虫の死骸や糞が乾燥して粉々になり細かい塵となってハウスダストとなり、また空気中を浮遊するなどして、アレルギー症状の原因物質となります。

アレルギー症状は、原因物質によって体内に作られる抗体の蓄積が、個人差はありますが、ある一定量に達することで発症しますので、原因物質の除去と回避は予防と治療の両面から考えても、とても大切なことです。

特にダニは一般家庭のハウスダスト中に最も多く含まれているアレルギー原因物質です。ソファー、カーペット、畳、布団などに生息していますので、こまめに掃除機をかけ、風通しを良くするなど室内の衛生的な環境を心がけて欲しいですね。

夏の間のダニなどの死骸や糞がカーペットに! これもアレルギーの原因物質

カーペットには、夏の間のダニなどの死骸や糞が・・・

tsushi14-3

 

また、秋の花粉症も春同様、飛散の多い時は外出を控える、マスクやメガネを着用する、帰宅時には外で衣類や髪についた花粉を十分に払ってから室内に入るようにしましょう。

秋の夜長、ソファーで寛ぎながら音楽を聴いたり、本を読んだりと、お家で過ごすのも楽しい季節です。
ゴロっと横になる前に、是非、ちょっと丁寧にお掃除をしてみて下さいね。
きっと、一層素敵で快適な秋の夜長を楽しめると思います。