皮膚科医通信Vol.11 皮膚科専門医がお伝えする花粉症と肌トラブルのお話

立春が過ぎても寒い日が続き、なかなか春を実感するには程遠い感もありますが、
ふっと人形町・水天宮の街路樹を見上げると桜の蕾が膨らみ開花への準備が進んでいるようです。
春は、すぐ近くまで来ているのですね。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、私たちのクリニックでも、開業以来、受付では小さな生花をいけています。肌のトラブルで憂鬱になってしまう気持ちを、少しでも明るくという思いからです。

この頃は、チューリップ、スイートピーやラナンキュラスといった春の花が飾られてますので、来院時に春の気配を感じて頂ければ嬉しいです。

さて、季節が春に近づくと、気になってくるのが、「花粉症」です。
暖かい春は待ち遠しいものですが、花粉症の患者さんにとっては、厳しい季節かもしれません。

そこで、今回の皮膚科医通信は、この花粉症を特集してみたいと思います。

人形町・水天宮の皮ふ科早川クリニックでも、そろそろ花粉症での受診が増え始めてきています。

皮膚科医でもできる花粉の検査と治療

花粉症の原因となる花粉はスギ花粉が一番多く、花粉症患者全体の約7割といわれています。

次いでヒノキ、シラカバ、ハンノキなどの樹木、他にはカモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどの草花の花粉も花粉症を起こします。

スギ、ヒノキによる花粉症患者は、一般的に関東地方では3月上旬から中旬がピークとなっていますが、スギ花粉自体は1月に飛散が始まり5月の初旬まで続きます。

そのため、敏感な方は、今の時期、既に症状が現れているようです。

既に日本気象協会の公式サイトなどでも、花粉情報がアップされています。
http://www.tenki.jp/pollen/

また、2/12付のNHKのニュースでは、今年の花粉の飛散量は、例年の2−3倍だそうです。

そこで、今回は、

私のクリニックで行っている一般的な治療と日常生活のポイントアドバイスをお話し、花粉症の方が、いかに快適に生活するをお伝えします。

花粉症は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの三大症状、目、喉の症状以外に、皮膚露出部のかゆみ、肌荒れといった症状がみられます。

また、昨年まで全く症状がなっかたのに、突然、今年から発症するといったことから、当初、「風邪をひいてしまったのかな・・・」と、思われることも多いようです。

花粉症は、血液検査(花粉に対するIgE抗体の有無や量、好酸球の増加を調べる)により簡単にわかりますので、「もしかして・・・」と思った時は、医療機関で診断してみるとよいでしょう。

通常、花粉症といえば、耳鼻科の先生を訪れる方が多いと思いますが、意外にも皮膚科でも検査や治療ができるところがあります。もちろん、当クリニックでも、こうした検査や治療が受けられます。

花粉症と診断された場合は、早めの対策・治療を

これは初期療法といわれる治療で、花粉が飛散し始める2週間前位から、抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬の服用を開始することで花粉症シーズンの症状を軽減させることが出来ます。なお、内服薬の服用は、鼻の三大症状、目、喉、皮膚のいずれにも効果があります。

また、症状が強くなってから治療を開始する場合、天候により花粉飛散が多い時、屋外での活動が多い日など、抗ヒスタミン薬と一時的に経口ステロイド薬の服用、点鼻薬、点眼薬の併用による導入療法で治療を行うこともあります。

いずれにしても、花粉症は数ヶ月に亘る疾患ですので、出来る限り体に負担のない抗アレルギー薬や漢方薬などの服用によって免疫力を落とさず体調を維持すること、初期療法や導入療法の治療によって症状が改善した後も、その状態を保つ目的で維持療法を花粉が飛散している期間、継続的に治療を行うことが大切です。

花粉症の方の日常生活の工夫

日常生活では、例えば外出時には、花粉が付着しやすい素材の衣服の着用は避け、スプリングコートなどを上着にして、室内に入る前はコートや髪に付着した花粉を十分に払い落としましょう。

また、着用した衣服は、こまめに洗濯すること、室内干しや乾燥機で乾かすなども心がけたいですね。
その他、マスク、メガネ、帽子を着用することで、体内に花粉が入るのを防ぐのに効果的です。

そして、睡眠不足、過労、飲酒などは、症状を悪化させますので避け、規則正しい生活、十分な睡眠、毎日の入浴と洗髪も欠かせないポイントです。

しっかり防いで、快適な春をお過ごしください。

冒頭でお伝えした受付のお花です。今回は、白からグリーンにグラデーションのかかった品のいいチューリップなどを中心にアレンジをしています。(左、中の2枚/右2枚は、昨年の3月頃の装花です)

皮フ科、早川クリニック 受付のお花