皮膚科医通信Vol.009 当クリニックの人気絵本と冬のスキンケアのお話

人形町、水天宮の街路樹の葉も落ち、池の野鳥達のように首をすくめる冬が本番を迎えています。
皆様、多忙な12月、お元気でお過ごしください。
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さて、今回は、私が大好きなその絵本のことと、冬のスキンケア、ワンポイントアドバイスをお話したいと思います。

皮フ科早川クリニックでは、毎年、冬になると必ず待合室に置く絵本があります。

それは“てぶくろ”という絵本。ウクライナ民話で、絵はエフゲー二―・M・ラチョフさん、訳は、うちだ りさこさんで、1965年から福音館書店より出版されています。

皮フ科早川クリニックで人気の絵本 てぶくろ

薄暗く雪が降る森の中に、おじいさんが落とした手袋の片方、そこへ次々と大小さまざまな動物たちが、やって来て仲良く暖をとるお話です。
仲間が増えるにつれ、入り口には、はしごや煙突が出来、ベル、窓もついて段々と家らしくなっていく“てぶくろ”や、動物たちの愛らしくユニークな表情や衣装、キャッチコピーなど、小さな子供から大人まで心温まる冬になる楽しい一冊です。

子供さんは、病院やクリニックに対して、緊張やちょっとした恐怖を抱きますが、こうした本があることで、緊張がとけ、落ち着いて、診察が受けられます。是非、当クリニックへお越しの際は、お子様に読み聞かせてあげてください。

すべすべの手で冬を乗り切るコツ

手袋、皆様は冬の季節にお使いですか。
手袋は、手、指を寒さから守るだけではなく、皮膚の乾燥や急激な血管の伸縮を防ぐ効果などがあります。
従って、しもやけ(凍瘡)、手あれなどに悩まされる冬の季節、上手に手袋を活用したいものです。

では、なぜ、しもやけ(凍瘡)、手あれになるのでしょうか。
その仕組みを知っていることで、日常のスキンケアのヒントになるのではと思いますので、簡単に説明しておきます。

しもやけ(凍瘡)は、皮膚の寒暖差、寒さによる血行障害により生じる炎症です。

皮膚が外気に露出している手の他、顔のなかでも頬、鼻や耳たぶなど血液の循環しにくい末端に発症することが多いです。
また、乳幼児など手足の汗腺が多く、汗をかきやすい方、冷え性の女性などにも多くみられます。
最初は、ジンジンした感じ、むず痒い、熱い、痛いなどの他、硬く腫れるのが特徴です。
さらに、しもやけ(凍瘡)の状態で皮膚が乾燥すると、皮膚がバリアとしての機能を保てなくなり亀裂を起こして、あかぎれ、ひびわれといった症状になります。

手袋もケアして、万全のスキンケア

手袋をして外出することは、冬の季節のスキンケアには大変効果がありますが、手袋の中の状態には是非、気をつかってほしいものです。
前述のように、汗腺が多く汗をかきやすい場合、手袋をして寒さを防いだつもりが、手のひらが汗ばんで、手袋の中が濡れたり、むれた手を、そのままにすることで、しもやけ(凍瘡)になってしまうことがあるからです。
手袋は、お天気のよい日に干すなどして、十分乾燥させ清潔であるよう心がけましょう。

赤ちゃんのほっぺもケア

また、ここ近年、人形町、水天宮界隈にベビーカーの親子さんを見かけることが多いです。
気温が低いこの季節、特にビルが多い町並みでは、風が一層冷たい日もあります。
ベビーカーを対面にするなど、直接冷たい風が赤ちゃんの顔に当たらないようにしたり、日よけやひざ掛けなどでガードしてあげるとよいですね。暑い夏には汗疹(あせも)に気を使っていた親御さんも、この時期は乾燥に気を使ってあげてください。

そして、吸収のよい夜の入浴後の保湿剤、手をまとまった時間休める就寝前にハンドクリームを塗るなど、それぞれの年齢層、生活環境に合った日常のスキンケアで、ひふのトラブルは随分防げるものです。

お話は、絵本の“てぶくろ”に戻りますが、おじいさんが、てぶくろを森に落としたことに気付き、飼っていた子犬と捜しに戻って来たことを知った動物たちは慌てて森のあちこちに逃げて行ってしまいました。
森の仲間が大勢入っていたてぶくろは、きっと中が暑くなり動物たちも汗ばんでいたかも・・・よいタイミングで、子犬とおじいさんが手袋を拾いにきたのかもしれませんね。

しもやけ あかぎれのない手 皮フ科早川クリニック

もうすぐ、クリスマス。凍てつく寒さの中、恋人や夫婦で手を繋いでデートというのもロマンティックですが、
手がガサガサだと、せっかくの恋も・・・

今から十分にお手入れをしておきましょう!