すっかり秋も深まってきましたが、人形町・水天宮を生活圏にしておられる皆様は如何お過ごしでしょうか。
都会の中でも、特に中心近くに位置する町、人形町・水天宮。皮フ科早川クリニックは、このような立地で日々診療を行っておりますが、このところ、ごく身近な屋外の自然に親しむことによって起きる皮膚疾患が増えています。
チャドクガによる毛虫皮膚炎は今年は少なめでしたが・・・
5月ころから9月上旬ころ(初夏と晩夏)にかけては、虫による皮膚疾患が、皮膚科受診の中でも多くを占めていました。原因は、身近な常緑樹である椿や山茶花(サザンカ)の葉に毛虫(チャドクガ)が発生するためによる毛虫皮膚炎です。(幸い、天候のせいか例年に比べて今年は少ない傾向ではありますが。)

引用:http://ja.wikipedia.org/wiki/ツバキ
左が椿、右が山茶花
毛虫皮膚炎は、毛虫の毒針毛に触れることによって、強い痒み、赤み、腫れや特徴的な皮疹を生じます。
毛虫は葉の表面より裏面についていたり、椿や山茶花(サザンカ)の樹高が比較的低い(50センチ位のものからある。)など、気付かぬ間に足に触れたりしますが、愛犬が茂みに入り毛虫の毒針毛に触れ、その愛犬に触れることによって発症したりといった、思わぬ盲点があったりします。
いずれも、毛虫への直接、間接接触に気付いていないことも多いのに加え、数時間経ってから症状がでるため、患者様自身は原因がわからず受診なさるようです。

症例 毒蛾皮膚炎 腕の内側に広がったチャドクガによる痒みを伴った皮膚炎
季節は、移り変わり、食欲、読書、スポーツの秋。
過ごしやすい季節ともあれば、自然と体が動き、朝夕のお散歩などを再開された方も多いと思います。
近所の公園などを散歩していると、たくさんのギンナンの実が落ちていたりします。
当クリニックの周辺でいえば、浜町方面に少し行った浜町公園の銀杏がよく知られていますが、逆方向(日本橋小網町方面)に少し行ったところにあるその名も「銀杏八幡宮」もあります。黄金色に見える銀杏の葉、穏やかなな秋の午後、秋の夜のおつまみとして、ひょいと拾って帰ることもあるかもしれません。

地図内の赤いマーカーが当皮フ科早川クリニック、右の黄色が浜町公園、左の黄色が銀杏八幡宮
でも、実はこの銀杏で皮膚炎になることがあることは、毛虫皮膚炎ほどは知られていないようです。
毛虫の活動が収まった晩秋にもかかわらず、赤く腫れたり、小さな水疱ができて、受診される患者様が、増えてくると、
もしかして、最近、銀杏を触りませんでしたか?と質問をしたりします。
毛虫と違って、能動的に「ギンナン拾い」や「皮むき」をしますから、原因の特定は、意外と早かったりします。

銀杏皮膚炎の症例
いづれにしても、毛虫皮膚炎、銀杏皮膚炎は、始めは指、手、足などの露出部位にみられ、手指を介して顔面、体幹などの非露出部にも生じますので、思い当たる場合は注意し、早めに皮膚科専門医に受診しましょう。
また、銀杏を拾うときは、果肉に触らないように、軍手、手袋をするようにしましょう。
その他、秋における皮膚科医からのワンポイントスキンケア術をひとつ
秋の深まりとともに、空気も入れ替わってきています。2週間位前から、皮膚も敏感に反応し始めてきたようで、軽い乾燥、痒みや違和感を覚える方も、少しづつみられます。
まずは、前回の皮膚科医通信でお話しましたが、入浴方法を見直すとともに、乾燥であれば、市販のボディーローション、クリームなどを入浴後に塗り保湿に努めることで症状の改善がみられます。