皮膚科医通信Vol.006 晩夏から初秋に注意したい皮膚のトラブル

こんにちは
今年の夏も残り少なくなってきましたが、人形町・水天宮にお住まいの皆様、オフィスなど職場で働く皆様は如何お過ごしでしょうか。

ここ人形町・水天宮にあります皮フ科早川クリニックでも、夏に多い皮膚疾患(例えば、日焼けによる炎症、虫刺され、水虫の増悪化など)のご相談件数は落ち着き始めています。
皮膚科専門医としては、このような患者様の様子からも季節の変化を感じている今日この頃です。

さて、近頃、デング熱感染の拡大がニュースになっています。

デング熱は、蚊を媒介とする感染症で高熱が出るなど重症化する場合があります。
命に関わることは一般的にはありませんが、蚊に刺されて、いつもと違う体調の変化があれば、早急に医療機関を受診することが大切です。
対策としては、屋外、特に公園など草木が多い場所は、蚊を含め多くの虫が生息していますので、長袖、長ズボンの着用、虫除けスプレー塗布、また庭木のお手入れ時には手袋をするなど、皮膚の露出部分を少なくするよう心がけるようにしましょう。

なお、デング熱に関しては、以下、官公庁のガイドラインもご一読ください。

東京都ホームーページ
http://www.metro.tokyo.jp/

厚生労働省 デング熱
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dengue_fever_qa.html

虫さされ デング熱 予防

続いて晩夏から初秋に向かう季節のスキンケアのアドバイスを一つ

盛夏が過ぎ、少し涼しくなって来たこの季節の入浴時の石鹸についてお話したいと思います。

夏は汗を沢山かき、皮脂の分泌も多いので、入浴時に液体のボディーソープで身体を洗うと、泡立ちがよく、汚れも十分にとれ、香りも優れ、気分爽快なバスタイム!と、使われていた方も多いのではないかと思います。

この皮膚科医通信の前回号でも「盛夏の皮膚トラブル あせも」の項で、「良く汗を洗い流して!あせも予防を」と申し上げていましたので、念入りにゴシゴシとされていた方もおいでかと思います。

しかし、一般的に液体のボディーソープは洗浄力が高く、汚れと共に皮脂も洗い流されるため、皮膚は乾燥傾向になります。

実は、この皮脂、勿論、必要以上に多いこともトラブルになりますが、適度な皮脂は皮膚のバリア機能となり、外からの刺激や水分量の保持など皮膚の健康を守る大切な役割をしているものでもあります。

皮膚科のアドバイス 液体ボディーソープ

これからの季節は、気温も湿度も下がってくるため、汗をかくことも、皮脂の分泌も少なくなってきます。
特に年齢を重ねていくと新陳代謝が下がり皮膚は乾燥傾向になりますし、都会での生活環境は、コンクリートに覆われ土が少なく、エアコンなどで空調管理され機密性に優れているため湿度が低く、皮膚に必要な水分量が保てない傾向にあります。

例年、秋以降、「足のすね辺り、腰まわり辺りが痒く、粉をふいたようになっている。」「身体全体が痒い。」と、仰って受診なさる方が多くなります。
診察時、お話を伺うと、ボディーソープを夏同様使っていたり、更にはナイロンタオルで洗っているといったことが少なくありません。

症状が進んでしまうと治療が必要となりますが、ボディーソープの使用をやめて、普通の入浴用の固形石鹸に変え、ナイロンタオルを綿のタオルにするだけでも、症状が改善される場合も多いです。

天然成分由来のやさしいせっけんも多数流通
秋、冬に「皮膚が痒い。」といったトラブルから解放されるための準備は、この時期から始めることがお薦めです。そろそろ、夏の入浴方法から秋冬の入浴方法へと切り替えてみては如何でしょうか。

爪水虫ほか、新薬が認可された皮膚疾患があります。

これまで、おもに内服薬での治療がされてきた爪水虫(爪白癬)に、外用の新薬が登場しました。その他、疥癬と乾癬にも。
簡単な解説をしてありますので、あわせてお読みください。
皮膚科医通信 増刊号0004 爪水虫などの新薬登場について