湿疹ってなに?

皮膚トラブルの代名詞「湿疹」って、そもそも何?

皮膚病患者様の3分の1以上は、何らかの湿疹といえる症状があり、皮膚病の代名詞の如く使われています。

当クリニックでも、肌に何か異常があると「湿疹ができました。」とご相談いただくことが多いですが、実は湿疹ではなかったというケースも多かったりします。

では、その湿疹って何というのを出来るだけ分かりやすく、ご説明してみます。

湿疹とはなにか?

まず、「湿疹」の「疹(しん)」は、これは、発疹、蕁麻疹、風疹、帯状疱疹などにも出てくる文字で、
平たくいえば、「吹き出物」「デキモノ」「ブツブツしたもの」という状態を言います。

疒(やまいだれ)の中に、人と彡で構成される字「㐱(珍のつくり)」で、特に、彡は、色や模様を強調するということですから、「人の肌にできたいつもとは異なる様相を呈した病」すなわち「デキモノ」とするのは、あながち間違いでもないと思います。

医師の立場からは、
1)点状状態・・・赤み、小さな水ぶくれ、ブツブツ、膿(うみ)、かさぶた、細かい皮膚など
2)多様性・・・上に書いた発疹が時期を変えて、または同時にみえること
3)かゆみ
という3つの条件が揃うかどうかで、「湿疹」かどうかを診断をしています。

その他、「発疹」「皮疹」という言葉も、よく目にしますが、「発疹は、湿疹ができた状態」を言い、「皮疹は、湿疹と同義語」です。

湿疹に似た言葉としては、「皮膚炎」というものもあります。

湿疹=皮膚炎と捉えても間違いとは言い切れませんが、厳密に言えば、異なる症状です。

本態(どんな症状か?)、発症機序(原因は何か?)、分類にはいろいろ意見がありますし、分類の仕方も臨床的分類や期間的な急性、亜急性、慢性の分類もありますが、臨床的分類をすると、以下のように分けられると思います。

1.接触皮膚炎(かぶれ)

アレルギー性、非アレルギー性のものがあります。例えば、ピアスによる皮膚炎や、おむつかぶれなどです。

湿疹の一例

接触皮膚炎の例:湿布による両膝のかぶれ

ピアス皮膚炎

耳軟骨炎を生じたピアス皮膚炎

接触性皮膚炎 めがね

メガネのつるによる接触性皮膚炎

化粧水による皮膚炎

症例:化粧品による顔面全体の接触性皮膚炎。この他、マスカラやアイシャドーによるものも多くあります。

 

2.慢性皮膚炎

尋常性湿疹とも呼ぶもので、ごく一般的に知られている湿疹。例えば、手荒れ、主婦湿疹などです。

3.脂漏性皮膚炎

皮脂腺が多く存在する、頭部、顔面、胸部、背部、わきにできる皮膚炎で、主に頭部にフケを伴った軽い痒みなどの症状があります。(脂漏性皮膚炎あるいは脂漏性湿疹の項 参照

4.内因性湿疹

アトピー性皮膚炎など(アトピー性皮膚炎については、別途、専門ページを御覧ください。

5.ビダール苔癬(たいせん)

6.その他の湿疹

貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎など

貨幣状湿疹

貨幣状湿疹

「湿疹」についての考え方

患者様には、受診時、「〇〇に湿疹ができた。」と、これまで同様にご相談頂ければ勿論、大丈夫ですが、実は湿疹にもいろいろあって、湿疹に似た別の症状もあるんだなぁということだけでも覚えておいて頂ければ良いかもしれません。

いずれにしても、通称、湿疹と呼ばれているものは最も一般的なよくある皮膚病です。
また、生活環境を見直すことによって、長い間悩んでいた症状が改善することも多いです。
従って、診察時には日常生活全般における生活習慣などを十分にお伺いするようにしております。

現在の病状に適切な外用、内服治療を行う治療方針と共に、再び増悪しないためのスキンケア方法を含む、生活全般での留意点など、ご説明致しております。